トンネルで活用される止水版について

トンネルは地下水圧や降雨の浸透などに常にさらされているため、漏水対策を前提とした施工や維持管理が欠かせません。漏水が進むと覆工コンクリートや鉄筋の劣化を促し、照明・換気設備の故障や冬季の路面凍結といった二次被害を招くおそれがあります。ここでは代表的な三種類の止水板と導入効果、さらに漏水がもたらす影響を紹介します。

トンネルに設置可能な止水板

VMシート型止水板(先付け型)

引用元:日本リステン株式会社 製品案内(https://www.risuten.com/product/uchitsugibu/index.html)


VMシート型止水板は、覆工コンクリートの打設前に型枠外側へシートを全面貼付する方法です。貼付後はコンクリートと一体化し、水圧を長期間にわたり防ぎます。粘着層付きEVAシートを使用すれば鉄筋を貫通せずに固定でき、気泡や裏込め不良を防止しつつ覆工の厚みを均一化しやすい点が魅力です。国内メーカーでは非加硫ブチルゴムをベースにした製品があり、200mm幅の規格を現場寸法に応じてカットできるようになっています。

ベントナイトウォーターストップ(後付け型)

引用元:日本リステン株式会社 製品案内(https://www.risuten.com/product/uchitsugibu/index.html)


ベントナイトウォーターストップは既設トンネルの打継ぎ部やひび割れに注入して膨張させる後付け型の止水材です。水と接触すると体積が約4倍まで膨張し、細かな亀裂や空隙に充填して水密性を高めます。国内ではベントナイトと水膨張ゴムを組み合わせたロープ状やバー状の製品が流通しており、約30mの被圧水条件下でも使用可能とされています。

アクアシール引抜止水板(差し込み型)

引用元:日本リステン株式会社 製品案内(https://www.risuten.com/product/uchitsugibu/index.html)

アクアシール引抜止水板は、コンクリート打設時に専用の止水板を目地に差し込み、硬化後にフランジ部を引き抜いてリブを内部に残す仕組みです。鉄芯入り非加硫ブチルゴム製の製品は、打設直後に落し込むタイプと、結束線で位置決めできるタイプがあります。リブ部分が硬化コンクリートに機械的に噛み合うことで水頭差が大きい場所でも漏水を抑制しやすい特徴があります。

トンネルで漏水が発生した際に起こる影響

トンネル覆工部で漏水が起こると、構造体の劣化や安全性低下など多方面にわたる問題が発生します。具体的な影響は以下のとおりです。

  • 覆工コンクリートや鉄筋の劣化促進:水分侵入により中性化や凍害が進行し、ひび割れや剥落を誘発します。
  • 設備トラブルのリスク増大:照明器具や換気ダクトの支持金具が腐食し、停電や落下事故の原因となります。
  • 交通安全への影響:排水不良で路面が凍結すると、車両のスリップや列車運行停止を招きやすくなります。
  • 社会・経済的損失:長時間の運行停止や通行止めが発生すると、利用者の時間的損失や物流への遅延など、広範なコストが発生します。

リスクを抑えるには、設計段階で止水対策を計画的に講じ、運用中も定期的な点検とモニタリングを継続することが重要です。

止水板以外で取り組まれるトンネルの水害対策

トンネルでは止水板だけでなく、掘削前後や維持管理段階で以下のような多様な工法・設備が併用され、水害リスクに対応しています。

  • プレグラウト工法:掘削前にセメント系または化学系グラウト材を高圧注入し、地山の割れ目や空隙を充填して透水性を低減する対策を行う。
  • 排水設備の設置:インバートドレーン(ピット・集水トレンチ)や側溝を覆工下部に設置し、集水した地下水をピットポンプで排水路へ移送し、定期清掃と点検により安定した水位管理を確保する対策を行う。
  • 防水膜・防水シート工法:覆工コンクリート内側にエポキシ系・ウレタン系の塗膜防水やPVC・HDPEシートを貼付して透水を抑制する対策を行う。
  • 注入シール工法:ひび割れやボルト孔にアクリル系・ウレタン系注入材を充填し、硬化塊で微細亀裂を封鎖する対策を行う。
  • 構造的排水路(サイドドレーン・誘導ドレーン):トンネル側面に誘導ドレーンを配し、防水ライナー背面の水をまとめて排水し、長期的な排水性能を確保する対策を行う。
  • センサー・モニタリングシステム:水圧・水位・漏水量センサーを設置してリアルタイムで遠隔監視し、異常値発生時に即時アラームを発報して早期対応を可能にする対策を行う。

浸水を防ぎたい場所別
おすすめの止水板3選

ビルやマンション
の自動ドア・EVなど
を守りたいなら

「みずどめくん2」
キッスビー三興建設

みずどめくん2画像

支柱やレール工事の必要がなく、簡単設置で止水性能も高い。

止水
性能
200ml/h・㎡
横幅 40~3000mm
高さ 180~700mm
重量 11㎏~
価格 294,800円~(税込)
一般住宅の玄関や
ガレージなど
を守りたいなら

「アピアシャット」
鈴木シャッター

アピアシャット画像引用元:鈴木シャッター公式HP
https://suzuki-sh.co.jp/case/155/

コーナーレールやコの字型など環境に合わせて取り付け可能

止水
性能
1,000ml/h・㎡
横幅 500~10,000㎜
高さ 300~1,000mm
重量 20㎏~
価格 記載なし
工場や変電設備など
の敷地ごと
を守りたいなら

「ウォーターシャッター」
中部美化企業

ウォーターシャッター画像引用元:中部美化企業公式HP
https://chububika.co.jp/watershutter/

柱を介して無制限にぐるりと高い止水壁を作り出すことができる。

止水
性能
1,000ml/h・㎡
横幅 無制限
高さ 342~1,958mm
重量 5.6㎏~/パネル1枚
価格 489,500円~(税込)